「ババンバ バン バン バン♪」。ザ・ドリフターズのあの名曲「いい湯だな(ビバノン・ロック)」の1番目に登場するのが、今回ご紹介する「登別温泉」です。登別温泉は、道都・札幌市から車で約1時間半、新千歳空港からも約1時間ですので、日帰りで楽しむことができますが、泉質が豊富な温泉地(もちろん湯量も豊富)ですから、ぜひ1泊して登別温泉の魅力をじっくりと堪能しましょう。
11分の10がそろう
登別温泉は現在のような温泉地として開湯してから160年以上の歴史を誇ります。年間約120万人前後(コロナ禍前)が訪れ、世界に11種類あるといわれる泉質のうち10種類がそろっている北海道屈指の温泉地。これがまさに“温泉のデパート”たる由縁です。
登別は比較的降雪の少ない地域ですが、特に冬など車の運転が苦手な方でも楽しめるように、鉄道とバスでも周れる観光スポットをご紹介します。
旅のスタートは登別駅
登別温泉の最寄駅はJR登別駅、ここから路線バスに乗り換えます。運行本数を心配される方もいますが、札幌~登別間の特急列車は概ね1時間に1本、温泉行のバスも1時間に1~3本の運行で、駅から登別温泉(ターミナル)まで約15分。登別駅~登別温泉間のバスを往復利用する際は、駅の自動販売機で往復券を購入しましょう。少しおトクです♪
「登別閻魔焼きそば」でランチ先行
登別駅にはお昼頃の到着を目指し、まず先にご当地グルメ「登別閻魔焼きそば」を食べてみましょう。
この焼きそばは、北海道産小麦の平麺に、ゴマの風味が効いたピリ辛特製ソースと地場産食材を使うことがルールとなっていますが、各店舗が独自の工夫をして提供されています。
駅を出てほんの少し歩いたところにある「食事&喫茶 eファミリー」の焼きそばは、登別産ホエー豚を使った、辛いものが苦手な方でも大丈夫そうな味わいです。こちらのお店ですと、温泉行のバスを待つ時間も有効活用できますね。登別に来てこの焼きそばを食べないと、閻魔様のお怒りに触れるかもしれません…。
駅左手にある「鬼っこゆ~くん堂」のおへそから出る冷泉にも手を浸してみましょう。願いごとが叶うかもしれませんよ。
バスに乗り、‟登別温泉小唄”が流れてきたら登別温泉はもうすぐです。
趣あふれる温泉街
登別温泉(バスターミナル)で下車したら、温泉街のメインストリート(極楽通り)をぶらぶら歩きながら今夜の宿「第一滝本館」まで行ってみましょう。お土産屋さんなどが並ぶ風情ある緩やかな温泉坂です。途中の「からくり閻魔堂」では、1日6回人間の悪事を裁く「地獄の審判」が行われるのも見どころです。
スイーツは「のぼりべつとろ〜りプリン」を
ここで食べていただきいのが「のぼりべつとろ〜りプリン」です。低温殺菌の「のぼりべつ牛乳」を使ったプリンで、超なめらかなくちどけがたまりません。
それにしても、瓶に入ったプリンってどうしてこんなに魅力的なのでしょう。
間欠泉にグリスロも
さて、まだチェックインに少し早ければ、「泉源公園」にも立ち寄ってみましょう。タイミングが合えばお湯が大きく噴き出す「間欠泉」を見ることができます。この間欠泉は約3時間おきに噴き出しますので、見れなくてもがっかりしないでください。
そして、歩くのが嫌だなぁという方に朗報です。温泉街をのんびり走る電気自動車「グリーンスローモビリティ」(グリスロ)が2023年3月から運行開始予定です。
5種類の泉質が楽しめる「第一滝本館」。ここは天国!?
登別温泉には何種類の泉質があるか覚えている人!
というわけで、そのうち5種類がひとつの宿で楽しめるなんてすごいと思いませんか?
その泉質は、「硫黄泉」、「芒硝泉」、「酸性緑ばん泉」、「食塩泉」、「重曹泉」の5種類ですが、中でも「酸性緑ばん泉」は全国でも珍しいものですので、この泉質のお湯に入るだけも十分な価値があると思います。
また、浴室の広さは150坪、湯船はなんと35個もあり、鬼や閻魔さまにお出迎えされる登別温泉ですが、実はこの世の天国なのかもしれません。
夕食にはお部屋食プランもありますが、海の幸・山の幸が食べ放題でライブキッチンのあるビュッフェダイングでいただくのがオススメです。
やっぱり地獄?
夕食を食べ終えたら夜のまちへくり出すのもいいですが、登別温泉の源「地獄谷」を夜風にあたりながら散策してみるのはいかがでしょうか。ライトアップされているので、日中とは違ってとても幻想的に感じられます。宿から地獄谷の入口までは徒歩5分くらい。散策時間は30分くらいあるとよいですが、湯冷めをしないように気を付けましょう。
お土産は藤崎わさび園の「わさび漬け」
北海道で栽培しているわさびといえば、ほぼ「山わさび」(ホースラディッシュ)ですが、登別の藤崎わさび園は北海道では珍しく、本州と同じ「本わさび」を大正時代から栽培しています。手作りの「わさび漬け」(10個入り)は食べきりサイズなので、職場などでお土産を配る数が多い方やご自宅で少しずつ食べたい方にもオススメです。
旅のラストは優しい駅弁で
JR登別駅には駅弁がないので、少し遠回りして「母恋めし」を食べてから帰りましょう。ただ、この母恋めしを確実に食べていただくには事前に予約が必要です。
◆予約先:母恋めし本舗 母恋駅売店(TEL:0143-27-2777)
母恋めしは室蘭市内の複数のお店で受け取ることが可能ですが、せっかくですのでJR母恋駅(JR登別駅から普通列車で約40分)へ行ってみましょう。絶妙に調理されたホッキ貝に舌鼓を打つこと間違いなし。駅舎内で食べるもよし、車内で食べるもよしです。
この次も登別温泉へ
今回の宿は「第一滝本館」をご紹介しましたが、登別温泉には魅力ある宿が軒を連ねていますし、第一滝本館にもない泉質が5種類もあります。観光客に人気の「登別伊達時代村」や「のぼりべつクマ牧場」もあえてご紹介しませんでした。
お時間のある方、もう一度登別温泉にお越しいただいた時に立ち寄っていただきたいのが、「湯元さぎり湯」、「カルルス温泉」、「イタンキ浜」、「ウポポイ」です。
「湯元さぎり湯」は日帰り専用の温泉銭湯で、「硫黄泉」と「ミョウバン泉」の2種類の湯が楽しめます。全国的にみても少ないミョウバン泉は、湯上り後に肌がキシキシする独特の感じが味わえます。
「カルルス温泉」は登別温泉の奥座敷とも呼ばれ、優しい湯あみが楽しめます。今では3軒に減った温泉宿が互いの魅力を出し合いながら、同温泉を盛り上げようと活動しています。
「イタンキ浜」は珍しい鳴砂海岸です。砂が“鳴く”のは砂がとてもきれいだから。東室蘭駅から少し離れていますが、鳴り砂通りを通って、砂のささやきに耳を傾けてみてください。
「ウポポイ」(民族共生象徴空間) はアイヌをテーマにしたナショナルセンターで、アイヌ文化に触れることができます。
この次もどうぞ登別温泉へ。